金属加工・樹脂加工・その他加工

パイプ内面めっき処理、ムラなく均一に 技術の用途を開拓

中里メッキ(静岡県富士宮市)は、パイプ内面に均一でムラのないめっき処理を施せる「内面めっき技術」の用途開拓を進める。難易度の高いパイプの内面に対し、亜鉛めっき皮膜を形成できる技術で、パイプ自体の品質を大幅に向上させる。同技術を保有しているのは国内でも数社のみといい、今後は自動車部品のみならず、医療機器や各種機械部品への応用も視野に入れる。

自動車部品向けから拡大

「膜厚3マイクロメートルも均一施工」

鉄パイプに電気亜鉛めっきを施す場合、めっき液中でパイプ内部にエアたまりができるため、ムラのない皮膜形成は極めて難しいとされてきた。

同社は浮輪が付いた特殊治具を開発し、めっき槽内でパイプの角度を変えながらエアを抜く独自工法を確立した。「膜厚3マイクロメートル程度なら均一に施工できます」と渡邉昌和社長は説明する。

自動車部品や家電部品を中心に処理

カチオン塗装(電気の力で樹脂系塗料を金属表面に塗着させる技術)と組み合わせることで、高い防さび効果を実現し、製品の長寿命化が期待できるという。

既に自動車業界ではシートベルト部品などに同技術が採用されているが、今後は自動車の標識を固定するためのブラケット、パイプが使用される医療機器、産業機械などの分野への需要拡大も探っていく。

なお、同社は電気亜鉛めっき、亜鉛ニッケル合金めっき、塗装などを手掛けており、少量多品種から量産まで幅広くカバーしている。自動車部品や家電部品を中心に年間4000万個を処理している。

(2025年10月掲載)