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バックアップ電源、ワクチン現場で活躍

新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、ワクチンを超低温下で保管するフリーザーの需要も高まる中、YAMABISHI(海老名市上郷)のバックアップ無停電電源装置(UPS)、「YSBシリーズ」が活躍している。フリーザー専用として開発されたUPSで、蓄電池を増設すれば、停電時にも約100時間の電力供給が可能。各自治体で採用されており、コロナ前と比べると4 ~5倍は売れているという。

販売5倍増に

ワクチン保管用に政府から各自治体に支給された超低温フリーザーなら、メーカーを問わず接続できる。本体のみで20時間、バッテリーを4台増設すれば100時間は持つ。「品質を最優先に考え、できるだけ国産部品を採用しました」と、後藤晃男・開発部ディレクターは語る。

通常のフリーザーは稼働中、室内の温度を下げるために、定期的に始動~停止を繰り返す特性がある。始動時には一時的に「突入電流」と呼ばれる大きな電流を発生させるため消費電力が上がる。しかし、対応していないバックアップ電源では停止するリスクもあるという。その点、同シリーズは、フリーザーの消費電力が10倍以上になっても止まることがない。

■県内の自治体でも採用

もともと、大学病院で献体などを保管するバックアップ用電源として考案され、2018年3月に製品化した。今では精子凍結保存など医療分野で広く使われている。

今年に入りワクチン接種準備が進むと、全国自治体からの問い合わせが以前の10倍に。「一時は電話が取れないほどでした」(蓮池一憲CEO)と言う。

すでに全国で60台を納入。県内では地元・海老名のほか、川崎市などでも採用されている。

現在は、全国の自治体でワクチンの接種体制が整ったため、注文は一服。今後は自然災害リスクが続く中で、サーバーやセキュリティー設備の予備電源、非常コンセントなどに引き続き需要があると見込んでいる。価格はキャスタータイプで190万円(税別)、スリムタイプで183万円(同)。

(2021年10月号掲載)