ねじ商社、サイマコーポレーション(藤沢市辻堂)が女性社員の多様な働き方を実現している。社員の半数が女性で、管理職に占める女性の割合は60%。未経験者にも新しいプロジェクト参画のチャンスを与え、子育てやペットの世話と両立するような時短勤務も可能にしている。結婚、出産、育児による離職がほとんどなく、制度を活用しながらキャリアアップを続けているという。厚生労働省の表彰制度「えるぼし認定・三ツ星」にも認定された。

パートから正社員は自ら申告

営業部・海外ビジネスチーム、濱口眞美マーケティングリーダーは、出産を機に前職を離れた後、「英語を使って海外と関係のある仕事がしたい」と、パート社員として同社に入った。やればやるほど仕事は面白く、正社員になってもっと幅広い仕事をやりたいと思うようになったという。

しかし子どもは小さく、既定の退勤時間では保育園の送り迎えの時間に間に合わない。迷った末、同社の斎間孝社長に対し、思いの丈を直談判。「時短勤務の正社員」となり、保育園に子どもを預けながら働けるようになった。第2子の出産時には産休制度も活用し、10年以上にわたり時短勤務を続けているという。

■猫の看病で正社員に

ペットの存在も、飼い主にとっては家族と変わらない。営業部・PBチームの國井香織さんは、飼っている猫の介護をきっかけに正社員になった。

パート社員として働いてきたが、猫が病気になった。猫の通院を余儀なくされ、介護もしなければならないが、治療費も稼がなければならない。理解を得るのは難しいかもしれないが、頼れるのはこの会社しかないと、思い切って相談をしたところ、時短勤務の社員として通常採用されることになった。

こうした同社の取り組みに対し、大場俊典取締役は「ずっとやってきたことなので、特別なことはしていません」とキッパリ。もともと女性社員の比率が高く、同年代が多かったこともあり、誰かの子どもが急に発熱しても、1〜2時間休暇の取得が可能。社内にも「言いやすい風土」があるとことが、結果的に社長と社員の信頼関係構築につながっているという。

(2022年8月号掲載)