エッチアールディ(HRD、横浜市金沢区福浦)は、グレープフルーツの種から抽出した「脂肪酸フラボノイド」を使用し、99.9%植物成分の除菌剤を開発した。短時間で部屋全体に広がる噴霧デバイスも同時開発した。関東学院大学理工学部での検証試験により、1度噴霧すれば有効成分が1週間以上残留することも分かったという。
HRD、高効率噴霧デバイスも同時開発
グレープフルーツの種由来の「脂肪酸フラボノイド」が、各種ウイルス・細菌を不活性化するのに有効とする論文は東京農工大学からも発表されている。
同社は、コロナ禍で普及する次亜塩素酸やエタノール系の除菌液が苦手な人もいることに着目。人と環境にやさしい天然由来の除菌剤ができないかと開発を進めていた。
「ナチュラルシールド」と名付けた同製品は、グレープフルーツ由来の成分をイオン化、純水と防腐剤(食品添加物)を加えた。「本来なら破棄される種を使うので、資源の有効利用になり、SDGsにもつながります」と井田明執行役員は説明している。
井田執行役員によると、有効成分「脂肪酸フラボノイド」は揮発しにくいとしており、1度噴霧すれば1週間は抗菌・抗ウイルス効果が続くという。
スプレータイプ(300、500ml)のほか、業務用(20Lから)も用意。参考価格は300mlで3000円~。
一方、レギュラー型と大容量型の噴霧デバイスも開発した。
スプレーボトルに専用ノズルを装着して使用。ノズルの穴を超微小に加工し、そこに除菌剤を空気による圧力を加えて押し出す仕組みで、1粒5~10ミクロンの霧状にて拡散する。
レギュラー型の場合、“超微細ミスト効果”により、1時間当たり約57平方メートル(約30畳)に広がるものの、わずか40mlしか消費しないという。タイマー機能も内蔵。価格はレギュラー型で19万8000円。一般家庭だけでなく、学校や飲食店、公共施設、介護関係など、幅広い用途を見込む。
また、他の除菌液を販売するメーカーに対しても、噴霧デバイスをカスタム生産できるとしており、広く提案していく。