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ガラス基板の内部を破壊せず可視化 台湾発の検査装置

半導体業界で革新的技術として注目を集めているガラス基板。生成AIの普及により、半導体の高性能化と高集積化が加速する中、より多くのチップを搭載できる基板への需要が高まっている。ガラス基板は従来の樹脂基板に比べて耐熱性に優れ、平坦性も高い。そのため、チップの高密度搭載と微細配線の実現が可能になる特徴がある。台湾・新竹市に本社を構えるSPIROX(スピロックス、蔚華科技)は、次世代ガラス基板の生産に不可欠な技術開発で注目されている。

レーザーで微細な穴を開け確認

同社が展開するのは、「TGV(スルーガラスビア)」技術に欠かせない非破壊検査装置「SP8000G」だ。

TGV技術とは、ガラス板に微細な貫通穴を開けて電気を通す技術のこと。従来の露光装置では、ガラス加工後の内部状態を確認するには、基板を切断する以外に方法がなかったという。

SP8000Gの最大の特徴は、業界初となる「SpiroxLTS(Spiroxレーザー断層スキャン技術)」の搭載だ。この技術により、ガラス基板内部の雷射改質状況を含む内部の状態を破壊することなく直接可視化できる。

「非破壊で材料ロスもない」

さらに同装置は、エッチング後の形状・寸法検査、表面粗さ測定、高密度配線形成後の検査など、複数の検査工程を1台で実現する。

「人間のCTスキャンをガラス基板に対して行うイメージです。非破壊で材料を無駄にしないため、コストメリットにもつながります」と楊燿州CEOは語る。

同技術には10件の特許が関わっており、日本を含む計5カ国での申請が完了している。ガラス基板の量産技術確立に重要な役割を果たすと期待されており、今後は日本の半導体関連産業への本格展開も狙っている。

(2025年9月掲載)