YAMABISHI(海老名市上郷)は、オールインワン産業用蓄電システムを開発した。パワーコンディショナーや蓄電池、監視制御ソフトなど、従来は別々にそろえていた機器を1台に集約。筐体にも独自設計を施したことで、収納箱不要で屋外設置も可能にした。同システムの導入効果を海老名工場で検証したところ、年間の使用電力の約半分が太陽光発電と蓄電による自家消費で賄え、電気料金も約半分になったという。
設置面積を削減、停電時も無瞬断
「YRW-2000シリーズ」の新モデルとしてリリースした。太陽光発電設備が設置されている工場や施設などに対し提案する。設置面積も従来比で6割以上削減した。
予測より蓄電池を賢く使う制御システム「SmartSC」も開発・採用した。
同システムでは気象庁提供の天候予測データや、工場における過去の電力消費データなどから、今後の余剰電力を予想。その数字によって、太陽光・蓄電池・電力会社からの電力を、システムが賢く使い分ける。
例えば、明日は快晴だったり、工場が休日で稼働しなかったりする場合は、太陽光発電からの供給量が余剰になることが予想される。そのため、前日に工場内の電力供給を蓄電池に切り替え、蓄電池容量の“空き”をつくる。そうすれば、翌日の太陽光発電からの電力を蓄電池に回せる。
さらに、同システムでは、停電時に無瞬断で電力を供給するため、生産設備やサーバーなどの重要な設備のシャットダウンを回避できるのも特徴。
価格はオープン。パワコン容量に応じて、50、100、200、300キロワットを用意した。すでに工場や大学、公共施設など新モデルは計15台以上を販売。今後は工場や物流倉庫、庁舎などの大規模施設への導入を目指す。
蓮池一憲CEOは「停電対策や二酸化炭素(CO2)削減、電気代削減など、複合的な理由から蓄電システムの需要は年々高くなっています」と説明。現在、海老名工場の拡張工事を進めており、来春にも稼働し需要増に対応していく。