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エネ使用量、設備ごとに計測しデータ化

精密部品加工、コバヤシ精密工業(相模原市南区大野台)は、新会社・ENIMAS(エニマス、東京都町田市)を設立し、中小製造業などを対象にした脱炭素・省エネサポート事業を始めた。生産設備や空調などのエネルギー使用量・二酸化炭素(CO₂)排出量を、設備ごとにリアルタイムで見える化するデバイス(ポータブル電流計)を開発。新会社を通じて普及させていく。

エニマス、ポータブル電流計を開発

電気料金の値上げや、サプライチェーン(供給網)での脱炭素化に対する機運が高まる中、特別なシステムを入れることなく、スマートフォン上で簡単にエネルギー使用量などの実態が把握できるのが特徴。

同社によると、エネルギー使用量の見える化や省エネに着手しようと思っても、既存のデマンドメーターは工場(施設)全体のデータを表示するため、どの設備にどの程度の電力使用量がかかっているのかが特定できない。小林昌純社長は「大手電機メーカーでも設備単位で計測するシステムを販売していますが、中小企業が導入できる価格ではありません」と説明。そこで、比較的安価に導入可能な使いやすいデバイスの開発を進めていたという。

■設備の「計画運休」も可能に

開発したデバイスは、新会社と同じ「エニマス」と名付けた。クランプセンサー(8個)と本体、子機などのセットで構成。各設備のブレーカーにクランプセンサーを接続。それを最大8チャンネルある子機などにつなぐだけで、見える化できる。

具体的には、各設備の電力使用量を計測し電気料金、CO₂排出量を算出。4G回線経由でクラウド上にアップし、CSVファイルに出力する。

小林社長は「それぞれの設備の使用実態を把握することで、夏や冬の電力需給ひっ迫時には、設備ごとの“計画運休”もできるようにもなります」と話している。

100V電源対応。価格は28万5000円(税別)。初年度は1000台の販売を計画する。中小製造業のみならず、冷蔵庫を常時使用する食品加工業やアミューズメント施設などにも需要が見込めるという。

なお、今回のデバイスは設計から部品製造、組み立てまで、すべてを相模原の企業が担当した。

(2022年9月号掲載)