廃棄物となった自動車のフロントガラスからは、RPVB(再生ポリビニルブチラール)という素材が取り出せる。 台湾のリサイクル繊維メーカー、鴻瀚興実業(彰化県)は、再生繊維として注目が集まるこの素材を活用し、繊維製品の強化を急ぐ方針だ。
自動車ガラスの素材を活用
2003年の設立後、主にポリエステル繊維の製造を手掛けてきた。コア技術は繊維のカバリングで、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエチレン(PE)で被覆した繊維の糸や生地を生産し、各メーカーに納入している。
テーブルクロスやアウトドア用のチェア、マットなどの素材としての用途が多い。最終製品の6割は
欧州向けだという。
ただ、従来品の製造で導入されているコーティングは、耐久力に優れる一方、製品に硬さが残るという課題があった。このため、代替素材として、RPVBによるコーティングの研究に着手し18年に成功した。RPVBでPETをコーティングし、製織・熱処理を経て完成させる。
現状の生産力は毎月40万平方ヤード。新たにRPVBの生産も毎月15万平方ヤードから開始した。自社設備で今後、最大100万平方ヤードの生産能力を見込める。
台湾屈指の海運大手、長栄海運出身の施春木総経理が、地元の台湾西部・彰化県で起業した。「循環経済に貢献する製品で、世界が目指す方向性とも一致しています。あえて壁の高いものに挑戦したいです。環境にやさしいものにフォーカスし、会社の強みをつくります」と話す。