シブヤ(横浜市港北区新吉田町)は、工場を持たないファブレスのベンチャー企業のものづくりを兄弟がサポートしている。金型設計・製造から樹脂成形までをワンストップで受託。“小規模ならでは”の機動力を強みとしており、「構想図からでも、早いものなら1週間程度で金型製作できます」(渋谷勲社長)と言う。試作品を作りたいが、大手ではなかなか製造を引き受けてもらえないベンチャー企業にとって、駆け込み寺のような存在になっている。
兄弟で機動力発揮し短納期案件も
熱可塑性の樹脂成形分野で、金型設計・製造から成形、組み立てまでを手掛ける。
渋谷社長が成形を担い、弟の渋谷薫専務がベースとなる金型の設計・製造を担当。兄弟がスムーズに連携することで生産性を高めている。
他社と異なるのは“手のひらサイズ”の試作品生産に特化している点。父親の代は自動車の内装部品や照明部品を手掛けていたが、兄弟で継いでからは別の路線を歩んだ。自動車部品などの大型・中型品は、いわば設備投資ありきの“体力勝負”。コスト競争もし烈だ。
それに対し、手のひらサイズの試作品生産は、工程数が少ないうえ、最小限の設備、固定費で済む。そのため「各受注案件が早く回転でき、突発的な依頼や短納期にも対応できます」(渋谷社長)とのメリットがある。
現在、売り上げの半分はベンチャーからの受注。多い時で年間50件近い試作を手掛けるまでに。
研究開発型ベンチャーにとっては、限られた資金でいかに早く結果を出すかが問われるものの、試作品を作ろうにも、ものづくりのノウハウがない。そうした企業に対し、兄弟で対応。構想段階から具現化していく。
県内からイノベーション創出を目指すベンチャー企業を、ものづくりで支える縁の下の力持ちとなっている。