まるで紙製品の博物館─。大型看板製作のベレイマージ(綾瀬市大上)は、本社近くのショールームをリニューアルオープンさせた。「当社ができることのすべてを展示しています」と町屋佐知子社長。「リボード」と「ペーパーハニカム」といった紙素材で製作した什器(じゅうき)などを多数展示。「こんな製品も紙で作れるのか」という驚きやワクワク感を持ってもらえるよう、演出にも工夫を凝らした。

ベレイマージ、ショールームを改装

本社からほど近い木工工場の跡地を改装。室内200平方㍍ほどの広さに「ピアノがあるカウンターバー」「アパレルショップ」「防災グッズ」の各ゾーンを設けた。ピアノなど展示物のほとんどが紙製品。奥には「古い町並みの中の駄菓子屋」も再現した。

同社は、屋外看板など大型カラー画像を企画・製作する企業。数年前からは100%紙素材であるリボードなどを活用し、看板やポスターなどの平面(二次元)では限界があったものを、立体的(三次元)に仕上げる新事業を始めた。リボードはスウェーデン生まれのエコ素材で、木材と同等の強度を持っているとされる。

そのため、展示会のブースやオフィス家具などに、同素材を使えば、軽くて丈夫で簡単に製作できるとしており、現在は用途開拓を進めている。ショールームもその一環だ。

「営業活動の中で、言葉で伝えるのは限界があります。見て、触って、体験してもらうのが一番です」(町屋社長)と話している。

■ワクチン接種会場で活躍

一方、5月から市内で始まった新型コロナウイルスのワクチン接種に合わせ、同社は会場に設置する案内看板や誘導サイン、ポスターなどを市に寄贈した。

接種前の不安や緊張感を少しでも和らげてもらおうと、町屋社長と本社営業部・森田芙美子さん、商品開発準備室・尾崎笑子さんの女性3人がデザインを担当した。いずれも、市のマスコットキャラクター「あやぴぃ」を使用。優しさと思いやりを込めたデザインに仕上げ、社内で一貫生産した。

会場では子供が喜んでいたり、ポスターの前で記念撮影したりする人もいたという。また、こうした取り組みにより、同市の古塩政由市長から感謝状が贈られた。

(2021年11月号掲載)