MTA合金(川崎市川崎区東田町)は、鉄と銅を融合させた新合金「MTA9100」の供給を始める。鋳造を手掛ける新工場が3月をめどに稼働するのに合わせ、まずはプラスチック成形の金型メーカーなどに販売していく。新合金は、硬度や強度がある「鉄」と熱伝導と導電性がある「銅」の特徴を併せ持つ。今後は自動車や電子部品などへの用途開拓も進める。
MTA合金、鋳造工場が稼働
「MTA9100」は、炭素フリーで純鉄90%と純銅10%から成る“人工レアメタル”で、同社の柴田徹郎社長は「炭素鋼、ステンレス以来となる第三の新合金になります」と説明する。熱伝導率はステンレスの約4倍、硬度は炭素鋼やステンレスと同等という性能を実現した。電磁波やノイズを遮へいするシールド性も高いという。
もともと、鉄と銅は性質があまりにも違うため、融合させるには「野球ボールにバスケットボールを入れるほど難しい」(柴田社長)とされてきた。しかし、従来とは全く異なる製法により融合化できたという。すでに米国と韓国では物質特許も取得した。
また、その製法を使えば、用途に応じて、鉄と銅の配合比率を変えたハイブリッド合金の生産が可能になるという。