金属加工・樹脂加工・その他加工

「速攻生産」で選ばれる存在に

板金・レーザー加工の栄高工業(横浜市鶴見区駒岡)は、「速攻生産」による超短納期で差別化している。部品によっては、注文を受けてから最短で即日出荷を日常的にこなし、地方の協力業者に出す時間的余裕がない取引先からの超特急案件に対応する。「当社は大手製造業の工場や研究部門が多数ある横浜に立地しています。その強みを生かせるのは短納期対応です」(高橋義彦社長)と話している。

地元食材から手作り

社員数10人の町工場。近くには大手自動車や部品メーカー、大手電機メーカーなどの拠点があり、同社はこれらの拠点で使われる部品の加工を行っている。

鉄・ステンレス・アルミ・チタンを扱い、板厚0.1~25ミリメートルに対応。主な製品は分電盤・配電盤の筐体や電力設備関連部品となっている。

板金・レーザー加工事業に特化。「多角化はもってのほかです。少人数で専門で取り組んでいるからこそ強みを発揮し、会社も継続できるのです」(高橋社長)ときっぱり。社長就任以降、東日本大震災やリーマンショック、そしてコロナ禍を経験。その教訓から「無理な拡大はしない。体力を消耗する価格競争にも参戦しない」と決めた。

そして同社のように首都圏に立地する工場にとっては、“特急対応”こそ大きな差別化につながるとしている。「超特急案件であれば、価格競争もありません。『すぐやる』が基本です」

小さな部品であれば、午前中の注文に対しては即日完成させる。大きな製品でも1週間程度で仕上げるという。

「地方の協力工場で安く作るよりも、輸送費の上昇を考慮すると、これからは首都圏にある工場への仕事が増えるとみています」と高橋社長。今後の地域製造業の活性化にも期待を寄せる。

(2023年12月号掲載)