材料費や人件費が高くなるなど、以前から経営環境が変化しても、加工単価は変わらないことが少なくない。機械加工の大島機工(相模原市中央区田名)は、単価や数量で顧客に提出する見積もりと、実際の受注に大きな差異がある場合は、警告するシステムを導入。全製品の製造原価の見直しも進めた。収益性を大幅に改善させ、“脱どんぶり勘定”を実現した。
全製品の原価も見直し
建設機械のシリンダー部品などを手掛ける企業で、多品種少量生産が強み。2019月12年には生産設備2台を新規導入し、シリンダーヘッドの専用ラインも新設している。
「部品を1個生産するのも、100個生産するのも、段取りの手間は同じです。同じ単価で受注していたら利益が出ません」と山口伸治社長。そこで数年前から取引先に対し、単価の見直しを求めた。
「勇気を持って臨みました」と、粘り強く交渉。社内では生産管理システムに新機能を追加した。
顧客によっては、見積もり依頼時に希望する数量・単価を伝えても、実際に発注された数量とは大きな差異が生じることがある。
「100個で見積もってほしいと言われても、10個しか注文が来ないケースがあります」(山口社長)。こうした仕事は赤字案件になる恐れがある。このため、システムの機能で警告し、顧客に再交渉をするきっかけとしている。
こうした取り組みにより、年率3%以上の付加価値額と、年率1%以上の経常利益の増加を実現。神奈川県の「神奈川がんばる企業」にも認定された。
山口社長は「景気変動に左右されない企業体質を構築したいです」と話している。