金属加工・樹脂加工・その他加工

「両面テープ」で治具レス実現

非鉄金属加工、メイワ(厚木市戸田)は、アルミの精密切削加工に両面テープを活用することで、治具を必要とせず、早く効率的に加工できる技術「貼付加工法」を開発、他社との差別化につなげている。工作機械上にABS樹脂製の板を敷いて両面テープで固定、その上にアルミのワーク(加工物)をさらに両面テープで貼り付けて加工していく。これにより“治具レス”で段取り替えがなく、半自動化も可能になる。もともと同社で手掛けていたプラスチック加工技術を非鉄金属分野に応用した。

メイワ、アルミの精密加工で独自技術

同社は、板厚5ミリ以下の非鉄金属加工が主力。「薄物と小物に特化しています」と、中島光春社長。加工精度は10ミクロンを実現する。医療関係や半導体製造装置、弱電関係など、小・中ロット品を中心に年間数千種類を生産する。そうした中、独自技術に据えているのが「貼付加工法」だ。

切削加工の分野では、ワークを固定するのに治具を使用するのが一般的。ただ、治具と接している部分は加工できないため、人の手でセットし直す「段取り替え」が必要になる。

その点、同加工法はワークに対し、治具を使わず両面テープで固定。一つのワークに対して、加工中の段取り替えがなく、連続して加工することができる。一度に多数の加工ができるほか、トータルコストの削減にも貢献するという。

■無人運転可能に

中島社長によると、同加工法の“肝”は両面テープと剥離剤。通常のテープは液体(切削油)や湿度、切削抵抗に弱いため、試行錯誤を重ねた。「最初はことごとく失敗しましたが、ノウハウを蓄積していきました」(中島社長)とし、特殊なテープと、簡単にはがせる剥離剤にたどり着いた。

加工後のワークは、下に敷いた樹脂板をしならせた時に生じるすき間に、剥離剤を浸透させることで、簡単に取り出せる。

同加工法を使うことで、多数の加工品は夜間に無人運転し、昼間は人手や手間のかかる加工をするという、効率よい稼働を実現させている。

(2022年5月号掲載)