「最期に連れて行ってあげたかった場所」「行きたかった場所」…。遺族や故人の心残りをなくせたらとの思いで、花葬(川崎市中原区上小田中)が、「さいごの里帰り」を始めた。故人の受け入れから葬儀を執り行うまで通常5日程度ある待ち時間に、希望があれば故郷や思い出の地などに、同社スタッフが同行する。コロナ禍で参列が難しい高齢の両親や祖父母でも「最後のお別れの時間をつくることができる」といった需要もあり、問い合わせが増えているという。
1泊2日で実家にも
「家に帰りたいと病床で言っていた」。そんな遺族の言葉を受けて始めたサービスだ。故郷だけでなく、日帰りや1泊2日で思い出の地に足を運んだケースもあるという。
「若くして亡くなり、ご両親が故人との最後の時間を実家で一緒に過ごしたいと、クルマで連れて行った方もいます。自分の部屋の布団で一晩過ごし、枕元にはお母さんの作った大好物の料理をお供えし、喜んでいただきました」と、大屋徹朗社長。
交通手段の都合上、関東圏内限定だが、費用は故人の搬送にかかる交通費と同行するスタッフの人件費のみだという。
■「見える化」を徹底
同社は、大手葬儀会社にいた大屋社長が2017年に独立して起業した。
後発の企業として心がけるのは「葬祭業は信用第一」ということ。葬儀は、故人の宗教や土地の風習などもあり、分かりにくいところも少なくない。そのため、葬儀の流れや費用、利用者の声などを徹底的に「見える化」することで、利用者の安心につなげたいとしている。