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切削速度を上げるアルカリ電解水 生成装置事業を本格化

不二プラント工業(川崎市高津区宇奈根)は、アルカリ電解水生成装置事業を本格展開する。アルカリ電解水には洗浄効果のほか、防錆(せい)効果や防腐効果があり、中小製造業向けに工作機械の切削液、板金製品の洗浄液としての利用を提案する。生成装置や洗浄機のラインアップを整え、主力の集塵(じん)機、クーラント装置に続く第三の柱に育てる。

工作機械向けの活用提案

1970年設立。社員数50人で川崎に本社・工場のほか、岩手工場(八幡平市)を持つ。集塵機やクーラント装置など、「お客様の環境改善・保全をお手伝いする会社」(永吉哲也社長)として新たにアルカリ電解水事業を拡大することにした。

アルカリ電解水とは、水を電気分解して作る水溶液。油汚れの洗浄に高い効果を発揮し、浸透性が高く防錆・防腐効果がある。

マシニングセンタ(MC)など工作機械の切削液は、水と添加剤を混合して刃物に吹き付け潤滑・冷却するが、水の代わりにこのアルカリ電解水を使えば腐敗しないため、液の交換が不要で、蒸発分を注ぎ足すだけで済むという。

また、浸透性が高く、工具と切削材料の間に染み込んで冷却するため「刃物の回転速度を上げることができ、切削速度が3倍になったという声もいただいています。難削材ほど効果が高いです」(永吉社長)という。

同社の生成装置「HPAR-36A」は、水道水を逆浸透膜フィルターに通して純水にし、独自の寿命の長い電解セルで電気分解、水素イオン濃度(ph)12.5の強アルカリ電解水を1時間に36リットル生成する。夜間電力で生成してタンクにため、アルカリ電解水用の添加剤を加えて切削液にする。価格はタンクと設置費込みで400万円。

一方、板金加工機器の専門商社であるファブエース(横浜市都筑区荏田南)とアルカリ電解水を使った平板洗浄機「FW-1000」も新規で開発した。金属板表面の油汚れだけでなく、タップ穴の内部まで洗浄でき、板厚1ミリ〜6ミリメートルまで対応する。タンクを内蔵しており、価格は生成装置とセットで1600万円。

同社では切削加工や板金加工向けのほか、塗装工場向けなど用途を拡大していく。塗装工場では霧状の塗料を水流に溶かして回収する方法が一般的だが、アルカリ電解水に置き換えれば腐敗しないだけでなく塗料成分が分離するため、汚れた水ごと捨てている現状より廃棄コストを節約できるとしている。

(2024年12月号掲載)