金属加工・樹脂加工・その他加工

ワイヤー放電加工で新素材をカット 難削材に短納期で対応

ワタナベ(横浜市港北区新横浜)は、同社の「神奈川ワイヤー加工センター」(座間市小松原)で、大手企業の研究開発部門向けに難削材カット事業を拡大する。電気自動車(EV)など先端技術の開発ではカーボンやセラミックスなどの新素材が使われるが、通常の工作機械では切削が難しいことから、同社が得意とするワイヤー放電加工機での短納期加工を提案していく。

EV開発支援へ事業拡大

1963年に工具商社として設立し、85年から国内では珍しいワイヤー放電加工サービスの専門会社として事業を展開している。

高精度に切削できるワイヤー放電加工

ワイヤー放電加工は、細いワイヤーと加工対象物の間に通電・放電して少しずつ溶融する加工方法。マイクロメートル単位で超高精度に切削できることから金型の製造などに使われている。

加工に時間がかかるが、同社では多数のワイヤー放電加工機をそろえ、設備に余裕を持たせることで短納期に対応する。

加工センターは福島県内に2カ所と神奈川県、愛知県内にあり、計約100台のワイヤー放電加工機で約700社の顧客を持つ。

■短納期にも対応

神奈川加工センターは計19台のワイヤー放電加工機を備え、首都圏に立地する大手企業の開発拠点にも近いことから、研究開発用途の受注拡大を図る。

「朝に材料を預かり、夕方に納品も」

ワイヤー放電加工は電気を通す材料しかカットできないが、同社では通電しない材料でも微量の鉄粉を添加するなどのノウハウを提供。カーボンやセラミックスのような軽量・高強度な材料や、モーターに使われる電磁鋼板などの特殊な材料を対象に、試作部品の加工や強度を調べる試験片の切り出しなどを行う。

川田和義常務は「新素材の加工依頼は多く、難削材カット事業は年間50〜60社から新規の引き合いをいただいています。短納期の要望が多く、最短で朝に材料をお預かりし、カットして夕方に納品することもありました」と話している。

(2024年7月号掲載)