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クラフトビールで三浦に新たな文化を

三浦ブルワリー(三浦市三崎)が存在感を高めている。“眠れる観光資源の宝庫”とされる三浦を盛り上げようと2023年11月にオープンした市内初のクラフトビール醸造所。三浦半島の4大観光エリアをイメージしたビールなどは、「ジャパン・グレートビア・アワーズ」で4種類がそろって受賞。周辺地域で観光や宿泊施設などの再開発が進む中、「クラフトビールで新たな文化創造や地域活性化ができたら」と、小松哲也社長は奮闘している。

品評会入賞の一杯「一期一会」

小松社長は、国内の大手銀行勤務や外資系金融機関の社長、副社長などを歴任。その一方で、趣味のクラフトビールでは「いつか自らクラフトビールづくりをしたい」との思いを抱き、国内30カ所、海外10カ所のブルワリーを巡り研究を重ねた。

醸造は自ら行う。設備は500リットルの醸造システムを基本に、発酵タンク7本を備える。最大で年間5万リットルで15万本相当の醸造が可能という。

併設されたタップルームは、観光客が多い土日、祝日限定でオープン。ガラス越しにビール醸造所を眺めながら、できたてのビールが味わえる。

定番はIPA(インディア・ペール・エール)など4種類。三浦半島の4大観光エリアの油壷、三浦海岸、城ヶ島、三浦のエッセンスを入れた。

2024年3月には日本地ビール協会が主催し、全国から771点が出品された「ジャパン・グレートビア・アワーズ2024」で銀賞2つ、銅賞2つを受賞した。

■最高の一杯を

小松社長によると、県内には50軒程度のマイクロブルワリー(小規模ブルワリー)があり、その数は全国でも2位の規模。ただ、米国と比べ日本ではクラフトビールの浸透度が高くないという。「底上げが必要ですし、逆に市場の可能性もあると感じています」(小松社長)。

今後は三浦の特産品のスイカ、メロンなどを使ったビールなど、意外性がある素材を使った新ビールにも挑戦する。

「お客さんの声をもとに日々、改良を加えています。それがクラフトビールの良さでもあり、その時の最高の一杯を、一期一会の出会いとして楽しんでもらいたいです」との思いがある。

(2024年5月号掲載)