地域の話題のお店

移動スーパー、コロナ禍でも需要底堅く

平塚市内を中心に「しまむらストアー」を11店舗展開する、しまむら(同市長持)の移動スーパーが“快走”を続けている。買い物弱者に対する支援のために2018年4月から導入したものだが、現在は専用車両を計5台に増やす。生鮮食品など約500品目を詰め込んだ軽トラック「とくし丸」が、地域を定期的に回り、商品を届けている。今や平塚のみならず、二宮町や大磯町、小田原市の一部までカバー。コロナ禍で外出を自粛したい人々のニーズもとらえている。

しまむら、高齢者などの「見守り」にも

戦後間もない1950(昭和25)年に創業。徹底した地域密着戦略を貫いており、生鮮食品など地元産の品ぞろえに力を入れる。また、和菓子・洋菓子店など地元の個店の商品を集めたフェアも開催する。

そんな同社が始めたのが移動スーパー。ネットスーパーとも異なる。軽トラックに商品を詰め込み、決まった曜日や時間帯に移動販売車が各世帯を個別訪問。家の前に停車し、商品を見てもらって販売している。

野菜や果物、刺身、寿司、肉、パン、日用品…。さまざまな品目が軽トラック1台に積まれており、お客さんには自宅前にいながら、スーパーでの買い物と同様、商品を見ながら買える楽しさも提供している。

1台当たり1日約30世帯を回っており、年々、販売車の台数も増やしている。

■市と協定も

同社では移動スーパー事業を始めるに当たり、地域の人たちに認知してもらうため、社員たちがローラー作戦で1件ずつ訪問。その中で「この近辺でも一人で買い物に行けない人たちがたくさんいることを知りました」(島村社長)という。

今では一人暮らしの高齢者世帯などの「見守り」にもなっている。市とも協定を結び、何らかの異変に気付いた場合は市に通報する仕組みも導入。地域に欠かせない存在になりつつある。

(2022年4月号掲載)