住まいの産業 / ライフサイエンス

「保育防災ハンドブック」発行

地域型保育事業(小規模保育事業A型)「つるみ共育保育園」を運営する、保育の寺子屋(横浜市鶴見区鶴見中央)が、保育防災ハンドブックを発行した。

保育の寺子屋、不安解消へ元消防士が制作

元消防士の藤實智子代表理事が「予測不能な災害が多い中、子どもを預かる保育士たちの不安を少しでも減らせたら」という思いで制作。初版は5000部限定で、保育士や施設向けに無料配布していく。

全24ページで、保育士が携帯できるポケットサイズ。消防署が防災研修で行う内容を、保育園向けに肉付けしたという。

災害時に見やすいよう、災害種別や起きた場所などによって取るべき必要な対応をシンプルに記載。けが人の発生も想定し、緊急連絡先への連絡法や応急処置法も載せた。

また、ハンドブックにあるQRコードをスマートフォンで読み取れば、心肺蘇生や止血を実際に処置している様子も、動画で確認できる。メモ欄に近くの公衆電話の場所など、自分たちに必要なことを書き足せば、オリジナルの「防災ハンドブック」になる。

現在、保育園には月1回の防災訓練が義務付けられているものの、内容は園によって異なる。

「いざという時に『子どもの命を守らねば』という責任の重さが、大きな不安につながっている保育士が多いです」と藤實代表。業界的にも人手不足傾向が続くため、日常業務に追われ、防災教育までは行き届いていないのが実状という。

藤實代表は「子どもの命を守りたいと思っていても、経験や知識がなければ、具体的な方法が分かりません。不安をなくし、自信を持って子どもたちと笑顔で向き合えるようになれたら」と語っている。

(2022年7月号掲載)