相模原・上溝商店街にある宝石販売店、ジュベール(相模原市中央区上溝)は“店舗内多角化”を進めている。店内では主力の宝石販売とジュエリーリフォームを手掛けるほか、ネイルサロンやスマートフォン修理窓口なども併設。“二刀流”や“三刀流”の店舗運営をする戦略が奏功し、思わぬ相乗効果を生んでいる。
ジュベール、宝石販売からネイルサロンまで
同社の原点は明治時代に中津村(現愛川町)で開業した「鈴木商店」にさかのぼる。1936(昭和11)年には時計部門が相模原・田名で設立され、戦後の高度成長期に「ジュベール・スズキ」として発展。やがて2017年に鈴木崇之社長の代になると、現社名の「ジュベール」に変えた。
ただ、鈴木社長が入社し、事業承継した平成後半は、宝石のような高額商品に対する消費者の志向も変わり始めていた。宝石販売と両輪だった時計販売の需要も、携帯電話やスマートフォンの普及が逆風に。そのため、多角化戦略に踏み切ることになった。
もともと鈴木社長は世界的な権威である研究機関・米国宝石学会(GIA)本校で学び、宝石鑑定士を取得。その技術や知識を生かして、古いジュエリーのリフォームを手掛けていた。そうした中、知り合いから表面が破損したiPhoneの修理を依頼されたことがきっかけで、スマホ修理にも自身の技術の用途拡大ができることを確信。修理事業を始めた。
一方、ネイルサロンで修業した妻・真由美さんも店内のスペースを生かし、ネイルサロンとスクールを開業。さらには歯のセルフホワイトニングサロンや広告類のデータ作成事業にも進出した。
■コロナ禍で多角化奏功
多角化戦略が奏功したのは、一昨年から始まった新型コロナの感染拡大。対面による学校の卒業・入学式が開催されなくなったことで、以前は駆け込みに近かった母親たちのネックレス需要がピタリと止まった。
ただ、その分、巣ごもりによるスマートフォンの利用時間拡大で、iPhoneの修理依頼が増加。さらに、外出自粛の影響で都内のネイルサロンが軒並み閉店したことや、テレワークが浸透した影響で、真由美さんのネイルサロンへの来店客も一気に増えた。
「(ジュエリーもネイルも)“ファッション”が共通のキーワードです。どの事業もそこから派生しています」と鈴木社長。
実際、ネイルサロンの来店客がジュエリーに興味を示したり、iPhone修理にやってきた客が待ち時間にネイルサロンを利用したりするなど、シナジー効果を発揮している。