温泉用水位計製造、日髙システム(横浜市都筑区茅ヶ崎東)は、公益財団法人・日本下水道新技術機構(東京都新宿区)からの委託を受け、下水マンホール内の水位を非接触で計測するシステムを開発した。広大に張り巡らされた下水道だが、一部の老朽化した配管から大量の雨水が侵入し、下水処理場の許容量を超えてしまう懸念がある。そのため、どのエリアのマンホール内で水位が上昇しているのかをセンサーで調べることで、破損した下水管の場所を特定する。
日髙システム、亀裂配管の早期発見つなげる
同社によると、横浜市内だけの下水管路だけで約1万2000キロ走っている。そのため、老朽化により亀裂が入った配管や、その周辺エリアを効率よく特定するためには、簡単で多数設置できる水位センサーが不可欠という。
開発したコンパクト型の水位センサーシステムは、赤外線を飛ばして水位を計測する。従来のセンサーは専門家がマンホール坑内に入り水中に取り付けていたが、数多くのマンホール下に置くことができない。設置コストや時間の問題もある。
その点、同システムはマンホール下のはしご部分に固定。単三電池4本で稼働するので、電源がない場所にも利用可能だ。センサー部分は特殊形状のくもり止めフィルムで覆ってあり、水滴が付着しても測定精度には影響しないという。
■温泉用水位計でシェア9割
もともと、同社は温泉用水位計でシェア9割超を占める業界オンリーワン企業。温泉は限られた「地下資源」で枯渇もするため、水位計によるモニタリングが必要不可欠。現在、同社製の水位計は全国の温泉地だけでなく、海外にも輸出されている。今回、こうした技術ノウハウを下水道分野にも生かしたという。
「下水道は近代社会を支えている最も根っこの部分と言えますが、インフラが劣化してくる時期に差し掛かっています。今後の需要拡大が期待できます」と五十嵐崇社長。今後は同分野の事業化も視野に入れる。