技術者派遣や機械設計の相菱エンジニアリング(相模原市中央区相模原)は、技能継承が課題となっている中小企業に対し、オーダーメードによる社員教育を受託する事業を始めた。同社は三菱重工業・相模原製作所OB らで構成される企業。設計や金属加工など、技能継承したい分野に応じ、エキスパートたちがオリジナルのカリキュラムを策定し、出張講習する。「1 日講師」も可能だ。具体的には、CAD 設計から金属加工(旋盤・フライス・NC)、金属塗装などを想定している。
相菱エンジニアリング、社員教育を受託
講師には三菱重工で教育センター長を務めたOB やホンダで設計業務をしていたOB たちが顔をそろえる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で稼働が落ちている企業があるが、その分、空いた時間を社員教育に費やし、会社としての弱点をなくすことで「アフターコロナ」に備えてもらう。
中でも地域の金属加工の分野では、汎用旋盤などのアナログ技術を得意とする人材が減少しており、若い世代では特に顕著だという。職人が急に退職してしまい後任が育成できないケースもある。こうした課題の解決を同社が支援。ジャンルを問わず対応していく。「もし当社で教えられる分野を持った人材がいなくても、重工OB のネットワークから探し出します」(中尾眞由美社長)と話している。
一方、中小企業の多能工育成もサポートする。事務系人材でも図面を理解したり、CAD の基本操作ができるよう、短期間の講座も受託する。
■初の女性社長
なお、同社は6 月に中尾社長が就任した。創業から31 年で初の女性社長だ。中尾社長は1997 年に入社。その後、事務系職員として三菱重工に派遣された。やがて2003 年に相菱エンジニアリングに戻り、総務部門で“ 縁の下の力持ち” の存在として活躍した。
「みんなのお母さん的な存在です」と同社の人間は口をそろえる。女性社員の比率が半数近くになったことや、スタッフたちの心をつかんでいることから白羽の矢が立った。中尾社長は「人材の会社ですので、人は宝です。一人一人を大切にする企業を目指していきます」と意気込みを見せた。