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「小よく大を制す」モデルで成長

モノが売れない時代にどう売るかー。建設機械販売・レンタルの旭フォークリフト(相模原市中央区田名)は、コロナ禍でも顧客数を増やし続けている。社員数20人に満たない会社ながらも、顧客数は首都圏を中心に8000社を突破。“売るための努力”をしつつ、「小よく大を制す」の独自モデルにより、同業の大手企業との差別化にもつなげている。

旭フォークリフト、取引先数8000社突破

同社は全国でも大人気の熊本のマスコットキャラクター「くまモン」とライセンス契約。フォークリフトにくまモンのステッカーを貼り、「くまモンのフォークリフト」として売り出している。有名企業も参入するフォークリフト業界だが、その中で同社のような中小企業が単独で社名や商品・サービスをブランディングしていくのは難しい。

しかし、最初から認知度が抜群の「くまモン」とコラボし、それを前面に出せばイメージが定着する。今では同社のことを知らなくても「くまモンのフォークリフト」として認知されるまでになった。

■新規はレンタル半額で差別化

フォークリフトのユーザーは業種を問わない。そのため、コロナ禍の影響を比較的受けにくいとされる。だがその分、同業他社との競争もし烈。人海戦術できる大手と比べ、限られた人数でいかに顧客を広げるかも問われる。

そこで打ち出すのがレンタル「半額」の戦略だ。同社の場合、最初の1カ月に限り、レンタル費を半額に設定している。「入り口が“半額”だったら、お客さんは『試しに使ってみよう』となります」(横江利夫社長)。新規営業に人と時間をかけるより、むしろ顧客サポートを手厚くすることで、確実にリピートしてもらえるよう注力している。

■年3回の賞与に社員投票

社内でもユニークな取り組みを進める。例えば、数年前から働き方改革の一環として、常態化していた残業にメスを入れた。

といっても、特別な仕組みを入れた訳ではなく、社員が残業する都度、「残業届」の提出を義務づけている。これだけで、毎月計30時間残業していた社員が、同2~3時間に減ったという。「当事者が書類を書くことで意識の改善につながります」(同)と明かす。おのずと生産性が向上し、会社の売り上げもアップしたという。

賞与支給も工夫する。通常のボーナスは夏・冬の計2回だが、同社は3回に分けている。具体的には、連休前の5月、お盆時期の8月、12月に分割。「連休前は家族旅行やイベントでお金が必要になります。ならば、その前にボーナスが出れば大分助かるはずです」と、横江社長は説明する。

また、毎回の査定時には、各社員が「自分以外で頑張った社員」と思う誰か1人を投票してもらい、その得票数に応じて特別給が上乗せされる。周囲にも認めてもらうほど頑張れば、報酬にも反映される仕組みで、モチベーション向上にもなるという。

このように独創的な経営を続ける同社。限られた経営資源の中で「小よく大を制す」といえるモデルを構築しており、コロナ禍に左右されず成長を続けている。

(2021年10月号掲載)