現物があれば完成品を複製します。ワード技研(相模原市中央区清新)は“一気通貫型”の3Dリバースエンジニアリング事業を始めた。製品や部品の設計図がなくても、現物があれば3Dスキャナーで測定し、それをCADデータ化。提携する加工メーカーに引き渡し、完成品まで仕上げる。

リバースエンジニアリングを展開

大手自動車メーカーと直接取引しており、部品やプレス金型の設計を手掛ける企業。2000年の早い時期から三次元CAD(3DCAD)を導入。現在では計39台の3DCADシステムを保有している。また、非接触型の三次元測定器(3Dスキャナー)2台を持っており、これらを使った新規事業としてリバースエンジニアリングを始めている。

金型や鋳造製品、ギア、模型、ゴルフクラブ・・・。CADデータがなく生産できないものを、3Dスキャナーで測定する。最小で直径3ミリ、最大5メートルに及ぶ大型部品まで対応できると言う。

■3D測定から完成品まで

ただ、3Dスキャンしたデータは通常、3Dプリンターには使えるが、加工データにはなっていない。そこで、同社が加工データとして使える三次元CADデータを作成する。その後、提携先の加工業者がデータに基づいて形状加工、熱処理、仕上げ加工までを行い、完成品として納入する。

お客さんからの依頼があれば、エンジニアが測定器を持参して訪問。移動できなかったり、機密性が高かったりする製品の測定を、現場で行うことが可能だ。「海外生産する際の金型のコピーや他社製品のベンチマークなどにも使えます」と、川井聡常務。今後はあらゆる業界からの注文に応じていく。

(2018年4月号掲載)