メディサイエンス・エスポア(川崎市幸区新塚越)が製造販売する酸素補給水「WOX(ウォックス)」が、コロナ禍を背景に売り上げを伸ばしている。「飲む酸素」として2011年の発売以降、累計300万本を販売しているが、ここにきて大手ドラッグストアなどが店頭での取り扱いを続々と開始。コロナ前(19年)と比べると、販売数量は毎月1.5倍増のペースで推移しているという。

医薬品メーカーで「塗るワクチン」などの開発を手掛けてきた医学博士・薬剤師の松本高明社長が開発した。

人間が生きるうえで必要不可欠な「酸素」を、長年の研究により、高濃度に安定化。飲用することで消化管から効率よく供給できるという。

主成分の「酸素包接水和物」は、新規の化合物を発明した場合、その化合物自体に対して与えられる物質特許を2月に米国で、4月には中国で取得している。

松本社長によると、通常の血中酸素飽和度(SpO2)の標準値は96 ~ 99%とされ、90%を下回ると呼吸不全の状態となり、入院や酸素ボンベが必要になるという。

同社が受託研究の第三者機関、オルトメディコ(東京都文京区)(被験者12人)に委託したWOXの検証試験によると、125mlを飲用した場合、ほとんどが1分後にSpO2(動脈血酸素飽和度)が上昇することが確認されたという。

そうした結果から、ドラッグストア大手のココカラファイン(横浜市港北区)や四国の「よどやドラッグ」、調剤薬局、大手家電量販店などが着目し、店頭販売に乗り出している。

ココカラファインでは、東京新宿三丁目店など、一部店舗内に専用コーナー「WOX酸素ステーション」を設置した。

松本社長は「手軽に酸素を補給できるものとして、より一層普及させていきたいです」と話している。

(2021年10月号掲載)