メディサイエンス・エスポア(川崎市幸区新塚越)は、同社で製造販売する「酸素補給水」の用途開拓を進める。その一環として、酸素補給水に対し、ナノ化した銀(Ag)を配合することで、抗菌・抗ウイルス効果を実現した携帯用スプレー「Agウォックス10」を商品化した。純粋な水、酸素、銀のみの成分でノンアルコール。石けんやアルコールの頻繁な使用で手指の荒れに悩まされる医療従事者が相次ぐことから開発した。

「HTシルバー」配合で抗菌効果が持続

医薬品メーカーで「塗るワクチン」などの開発を手掛けてきた医学博士・薬剤師の松本高明社長が率いるベンチャー。主力商品は「WOX(ウォックス)」と呼ばれる酸素補給水。同製品は、松本社長が長年研究している技術で、人間が生きる上で必要不可欠な「酸素」を高濃度に安定化させ、飲用することで消化管から効率よく供給するもの。すでに累計300万本を販売。アスリートや格闘家、モデルも愛用中という。

■ウイルスが100分の1に減少

今回、その酸素補給水に対し、独自の「ナノ金属安定化技術」で処理した銀(HTシルバー)を配合。携帯できる100ミリリットル(HTシルバー含有量10ppm)のスプレーとして商品化した。商品化に先立ち、同社が鳥取大学獣医学部などと行った試験によると、HTシルバー100ppmで高病原性鳥インフルエンザのウイルスが100分の1に減少することを確認した。1、2プッシュで使用頻度により効果が持続するのも特徴だ。

価格は2200円(税別)。リビングやキッチン、寝室といった生活空間からトイレ、まな板などへの用途を想定。また、マスクに使うことで消臭効果も発揮する。容器不足により初回1000本の限定生産だが、順次増産していきたいとしている。松本社長は「今後もQOL(生活の質)を高める商品の開発に挑戦していきたい」と話している。

(2020年6月号掲載)