DX / IT / IOT / ベンチャー

スマホで点滴管理可能のIoTツール

医療機器製造、マーク電子(相模原市緑区橋本台)は、点滴中の状況をリアルタイムで遠隔モニタリングできる小型IoT ツール「DRMARK(ドクターマーク)」を開発した。自動車の衝突防止システムなどに採用されている「マイクロ波ドップラーレーダー」を使用し、滴下を検知。流量や滴下異常、点滴終了を知らせる。これにより、医療現場の負担軽減に役立てるとともに、「医療品質の向上にもつなげます」(相馬邦造・技術部課長)としている。

マーク電子、自動車の安全技術を応用

患者が点滴を受ける際は、医師から量と時間が指示される。そのため、現場の看護師らは流量に異常がないかを定期的に見回って確認している。ただ、医療現場は慢性的な人手不足のため、看護師たちの負担にもなっている。そこでIoT技術を使うことで何とかならないかと、同社では昨夏から開発を進めていた。

開発した新製品は手のひらサイズ。クリップ式で点滴筒に挟んで使用する。ブルートゥース内蔵で、手持ちのスマートフォンやパソコンに連動させて使用する。

本体内部に搭載された「マイクロ波ドップラーレーダー」は、主に自動車業界で使われている技術で、物体の動きを高精度で検知する。同技術の場合、赤外線センサーと比べ、室内環境に左右されず、患者が移動して点滴筒が動くようなことがあっても問題なく検知する。「こうした点滴計測器は世の中にはありません」(相馬課長)と話している。

■異常や終了も通知

スマートフォンと連動させた後は、点滴の流量速度と積算流量、終了予定時刻を表示。異常や終了も知らせる。USBケーブルによる1回の充電で15時間以上稼働する。本体にはメモリー機能があるため、データ履歴も閲覧できる。開発にあたり、北里大学・医療衛生学部の協力を得て性能評価や臨床試験を実施した。

国内主要各社が生産する点滴筒に対応。4月からの発売を予定する。価格は数万円程度を目指す。今後は同製品のニーズが高まってくるとみており、初年度1万セットの販売を計画している。

(2021年2月号掲載)