創業185年の長寿企業、セラリカNODA(愛川町中津)は、「つるかめ通信」を発行した。社内報や社外報ではなく、同社が提唱する「生物産業」の実現に向けた野田泰三社長の“想い”を伝えるもので、今回で3号目。
「つるかめ通信」で想い綴る
全19ページ。野田社長が仕事の合間に執筆して完成させたと言う。同社と関わりがある企業や個人などに計3000部を郵送した。
同社は、江戸時代からの伝統がある「天然ロウ」の製造販売を受け継ぐ企業で、1832(天保3)年創業。天然ロウとは、生物が自らを守るために分泌した生体保護成分である動植物ロウ。昔から和ろうそくやびん付け油などに使われてきたが、12代目の野田社長なってから用途開拓を進め、今ではコピー機のトナー、ヘアワックス、チューインガムなど、多岐にわたり使われている。
多くの伝統産業が消える中、時代の変化に柔軟に対応した同社の事例は2016年の「中小企業白書」でも紹介されている。そんな同社が事業を通じて主張するのが、すべての戦争の原因である石油や地下資源に依存する産業からの脱却。そして自然と共生する生物産業への転換だ。
■広島で原点回帰
今回の第3号では、野田社長が40年前に学生時代を過ごした広島を再訪するところから始まる。当時、原爆投下から30年たっても傷跡が消えなかった広島の地で学生生活を送り、さまざまな出会いや経験をした野田社長が、当時の自分に原点回帰しながら、その思いをつづっている。
野田社長は同号で「日本には百年、二百年継続している長寿企業が数多くある。まさに持続可能性を体現してきた。そしてその多くは長いこと天然物と上手に向かい合ってきた」と指摘。その上で「原料が天然であるがゆえに、偶然と必然とのはざまで、合成物にはできない自然の生み出すような面白い逸品を作り上げることができたのでは」と言及していた。