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フィロソフィ実践で売り上げ倍増

システム開発、キャリッジリターン(相模原市南区古淵)の業績が好調だ。同社は「フィロソフィ」や「クレド」を策定し、社内運用を始めたことで人材獲得に成功、2020年度は売上高を倍増させたという。採用活動やホームページ上で、会社の得意分野のPRに力を入れるよりも、フィロソフィなどの考え方を前面に打ち出すことで、共感する人材が相次ぎ入社。「優秀な人材が集まれば、おのずと業績もアップします」(福田信也社長)と話している。

キャリッジリターン、人材確保に成功

受託ソフトウエア開発などを手掛ける。相模原のほか、川崎に1カ所、都内3カ所の拠点がある。ただ、数年前までは、仕事に対する社員たちの考え方がバラバラで「悪い雰囲気が社内に漂っていました」(福田社長)と振り返る。

これではまずいと、あるコンサルタントに相談した時に勧められたのが「JALの奇跡 (稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの) 」(致知出版社)という本だった。

稲盛氏が当時、組合ごとにバラバラになっていた日本航空(JAL)を一つにして再建させた内容だ。経営する上での根幹となる哲学「フィロソフィ」を重視する稲盛氏の話に感銘を受け、「これだと思いました」(福田社長)と、早速、自社でも実践することにした。

社内では実行委員会を発足。同社の創業から現在に至るまで「良いときは何が良かったのか」「悪いときはどうしたら良くなったのか」「迷ったときは何を基準にしたか」などを一つ一つ振り返りながら、1年かけてフィロソフィをまとめた。

同社のフィロソフィは、「あり方」「過ごし方」「遊び方」「殖やし方」の4つの要素で、計40項目を盛り込んだ。さらに、日常業務の行動基準となるクレドを「掟」と命名して作成した。

■HPでは「考え方」を説明

現在、同社のホームページなどでは、フィロソフィに関連する社長の説明動画をアップしたり、フィロソフィの中で盛り込まれたテーマについて、社員がブログを書いたりと、会社PRではなく「考え方」を伝える内容を中心にしている。

「そうすることで、考え方が一緒の人たちが当社に応募するようになり、集まることで、会社も同じ方向になります」と福田社長。この2年間で中途人材20人を獲得している。

(2021年7月号掲載)