日本発の次世代プレス金型技術を生み出していこうと、クライムエヌシーデー(クライムNCD、相模原市南区下溝)などが中心になり「かしこい金型研究会」を発足させた。産学連携の研究組織。金型そのものにセンサーを取り付け、稼働中に生産品の不具合や破損する危険などを検知。警告を発して即時対応を促したりできる「かしこい金型」の共同研究・開発を進める。プレス金型とIoT(モノのインターネット)の融合も目指していく。

プレス金型そのものが危険察知

発起人はクライムNCDの高橋百利会長。高橋会長は半世紀以上、プレス金型の研究開発に携わってきた経験がある。「自動車業界では自動運転技術など、技術革新が起きているのにプレス金型は進んでいません。昔から『低価格・短納期・高品質』というテーマだけが続いています。それでは付加価値が生まれません」と高橋会長。そこで自らが発起人となり、同研究会を発足させた。「金型を作るまでの術は追求しても、実際に稼働している金型の検証は不十分です」とし、稼働中の金型に対して以下の技術開発にスポットを当てる。

① 危険状況や生産品の不具合などを検知して自らで即応対応(事前予知)できる。

② 危険状況や生産品の不具合などを検知して、緊急警告が発せられる。

③ 自らの出生や過去の不具合、生産動向・メンテナンス情報履歴を蓄積してデータ告知できる。

同会では「かしこい金型」の定義としてこうした3点を整理。金型にセンサーを取り付け、周辺の機械と連動しながら稼働させるイメージで、今後は毎月1回、工場での検証を踏まえながら開発を進めていく。

■IoTとの融合視野に

「これまでのように『物言わぬ金型』から『かしこい金型』へと進化しなければなりません。異業種企業も参加してもらい、どんどん進化させていきます」と話しており、日本のプレス金型技術の競争力アップにつなげる。

なお、同会の参加企業、大学は以下の通り。

▽ クライムエヌシーデー
 ▽慶應義塾大学・青山英樹教授
 ▽日本ユニシス・エクセリューションズ 
 ▽日本デイトンプログレス(ミスミグループ)
 ▽アデック
 ▽ハルツ
 ▽特別アドバイザー・ファインテック中川威雄会長(東京大学名誉教授)

(2016年4月号掲載)