日天(横浜市港北区新横浜)は、太陽光発電システムの日本における黎明期から一般家庭や企業への導入を支えてきた。企業向けには高電圧対応など難しい案件のノウハウを蓄積、一般家庭向けにはパネル設置だけでなく内外装リフォームまで総合力で対応する。国の優遇策やその反動で市場規模が激変してきた業界で「太陽光発電は投機目的で導入するものではありません」(浜田祐一副社長)とのスタンスで地道に積み上げた実績が評価され、電気料金が高騰するなか自家消費用の引き合いが急増している。
大手石油会社が源流
同社は、1973年のオイルショックを受けて昭和シェル石油(当時)が始めた太陽電池の研究を源流とし、直販部門の分社化を機に独立。2009年に責任者だった高瀬和明社長を中心に経営陣によるMBOで設立した。
太陽光発電をめぐっては、2012年に国が固定価格買取制度(FIT)を導入。発電電力を電力会社が買い取る期間を、住宅向けで10年間、企業向けで20年間と定めた。買取価格も当初は家庭用42円、産業用40円と有利な条件だったため、利益を期待する「売電案件」の導入ラッシュを招いた。
現在は買取価格が下がり、初期の案件が買取期間を終えて導入は落ち着いたが、一方で土地の活用策としての「メガソーラー」が自然環境に与える影響も指摘されている。
こうした中、社員数55人、売上高の7割を占める法人向けは売電案件が年間数件となり、ほぼ「自家消費案件」だけを手掛けている。
工場などの6600ボルトを超える高圧の電気系統に太陽光発電を接続するといった難工事の設計力や、既存設備に太陽光パネルを追加設置する際の防水処理など、ノウハウを蓄積。相談対応から設計、行政への申請、施工まで総合的に対応する。
今後は案件数で6割を占める一般家庭向けを伸ばす方針だ。2024年には戸建て住宅のオプション工事を手掛けるARM社(東京都台東区)をグループ企業として迎えた。太陽光パネル設置だけでなく、蓄電システムとの組み合わせや内外装リフォームをセットで提案し、一般家庭向け売上高の倍増を目指す。
「太陽光発電は本来、投資ではなく、地球のために二酸化炭素排出量を削減しながら電気代も節約できる素晴らしいものです」(同)と話している。


