住まいの産業 / ライフサイエンス

野菜の新芽「マイクロハーブ」を育てる都市型農業

江戸前ハーブ(東京都大田区大森東)は、野菜の新芽「マイクロハーブ」を栽培し高級レストランに届ける都市型農業を営む。都内の建物内でラックに並べたパレットに種をまきLED照明で育てるが、通常の植物工場のほとんどが水耕栽培なのに対し、あえて手間のかかる土に植えることで作物の味にこだわっている。300軒ほどのレストランに愛用され、年商1億円に成長した。

ラックにLED照明、高級店に支持

2020年に設立。社長の村田好平氏が国内のハーブ農家や海外のマイクロハーブ栽培に学んで独立し、農業関連の会社に勤めていた中岡佑介氏を農場管理者として2人で事業を軌道に乗せた。

マイクロハーブはカイワレのような新芽で、ターサイやラディッシュ、ヒマワリ、ディール、春菊など23種類を栽培している。

土は独自にブレンドした水はけの良いものをパレットに敷き、多数の種をまき、23度に保った室内で赤と青の波長の栽培用LED照明を当てる。肥料はほとんど使わず完全無農薬で、10〜14日で成長し毎週月曜日と木曜日に収穫する。

収穫したマイクロハーブは20種類程度をミックスして袋に詰め出荷する。主にサラダの味を下支えする食材として使われる。

本物の土で水分を抑えて育てるため「味が濃く、有名レストランのシェフに評価していただいています」(中岡氏)という。

価格は一般向けのネット販売で300グラム入りセットが3240円と、極めて付加価値の高い農作物になっている。販売先のほとんどは高級レストランで、高級食材専門の卸経由で販売している。

土は一回ごとにブレンドした新品を使うなど品質に関わる経費は惜しまない。

一方でコスト管理を徹底し、ラックなどの設備は普及品を自分で組み上げ、植物工場としてものづくり系の公的補助金も活用した。社長と中岡氏のほかは10人ほどのパート職員で回し人件費を抑えながら、計画的な栽培のため農家では難しい複数日の休暇取得も可能だ。

付加価値の高い事業形態について中岡氏は「シェフにニーズがあるマイクロハーブという作物に集中していることが一般的な農業との違い。でも、毎日土をいじり、地味な作業を繰り返すところはまさに農業です」と話している。

(2025年11月掲載)