住まいの産業 / ライフサイエンス

街の生活を豊かに…不動産活用から総合サービスへ

ボンボヤージュ(川崎市中原区新城)は、不動産活用のワンストップサービスを展開する。一般的な不動産活用で行う、建物の設計・施工管理だけでなく、この不動産でどんなビジネスを展開するか、企画立案から経営計画策定、入居者探しまでを手掛ける。業種を一言で表すのは難しく、「人々の生活を豊かにする仕事です」と和泉直人社長。同社の最新作は、JR南武線・武蔵新城駅前の商業ビル「noma(ノマ)」だ。

川崎・武蔵新城の最新作とは

ノマの特徴は2階の飲食店フロアで、「おいしくて面白い店を出す人が入りやすいビルがあると、まちが面白くなります」(同)との狙いから、客席を共有するフードコート形式で店舗部分の面積を小さくし、家賃を抑えた。

ミシュラン三つ星店・元副料理長のイタリアンレストランや焼き菓子店など、2025年4月にまず4店舗をオープンした。

建物自体は24年春に完成し、3階は飲食以外の個性的な店や建築設計事務所などのオフィス向けに合計10ブースを用意。他のフロアは2階に手堅いテナントを集め、1階は大手外食チェーン、4〜5階は医療関連が入居する。

同社は20年に設立、社員は一級建築士や宅地建物取引士など4人で、案件ごとに外部の設計事務所や税理士と連携して動く。

ノマの場合、土地の所有者から相談を受けて地域の数値データを確認、施工費の高騰で家賃が高くなる集合住宅より商業施設が有利と分析し、個性的な店で「人々の、日々の、生活を豊かにする建物」を提案。「々」をカタカナ2文字の「ノマ」と読ませる名前をつけた。

この土地は容積率によっては10階建て程度まで建設可能だが、同社は依頼主の負債を増やさないため総工費4億円の5階建てに抑え、テナントの家賃収入などの経営計画を立案した。安定期の利回りは建設費用に対する税引き前利益の比率で7%に設定しているという。

フードコート部分は、まず同社自身が料理人を探してきた直営店を「見本」としてスタートし、オープン初日で400人が来店。当初は7店舗のフロア構成を予定していたが、開業から2カ月の実績で客席を増やす必要があると判断し、最大5店舗に変更することも視野に入れている。

同社はこのほかにも川崎、横浜市、東京都大田区などでユニークな商業ビルや住居併設ビルを企画した。社名はフランス語で「良い旅を」の意味。「軌道に乗った建物はお客様の運営に任せて『良い旅を!』と送り出します。人が本当に豊かになる建物とまちを作っていきたいです」(同)と話している。

(2025年6月掲載)