企業の生産性向上を図る上で生成AIの活用は重要な課題となっている。台湾のベンチャー、未来巣科技(Futurenest、台北市)は異業種に対応できる、知識管理AIアシスタントソリューションを開発した。市場分析やコンプライアンス検証、企業戦略分析などのリポートが自動生成できるように。クラウドではなくオンプレミスのサーバーに対応し、ユーザーの安全性を重視している。
人材育成NPOから起業
セキュリティー対策の基本として、ネットワーク機器のプロトコル(SNMP)、システムログ(Syslog)メッセージ、トラフィック(Flow)でそれぞれ個別に管理されているプロトコルデータを、統合して分析する仕組みを開発した。これにより、一般的ツールよりコスト削減と効率向上を実現した。
台湾では既に、国家レベルの金融機関にも採用され、信用調査レポートの生成や文書のコンプライアンス照合に活用されている。過去10年間のデータを収集し、事業の変化や財務状況などを分析した上で、専門性の高いリポートを生成している。生成AIの活用をコンサルティングでも支援する。
2020年の設立。若者にテクノロジー教育の提供や人材育成のための非営利組織として発足した。「さまざまなプロジェクトを手がけるうちに、市場のポテンシャルに気づきました」と、許旭安董事長。学んだことを社会で実践するため、若者たちが民間企業を旗揚げした。今も平均年齢は26歳。7割以上をエンジニアが占める。
今後は製造業やバイオメディカル分野などへの進出を目指す。「人事・法務やベテランの技能継承などにAIが有用となります」(許董事長)。日本市場に対しても、パートナーを得たい考えだ。