機器・装置・製品/ロボット

捨てていた電気を回収する回生型電源装置 消費電力90%減

計測技術研究所(川崎市幸区南加瀬)の回生型電源装置「エネファントシリーズ」が注目されている。主に蓄電池の充電や放電試験に使用される試験用電源に使われるもので、川崎市の認定制度「川崎CNブランド」の2024年度大賞も受賞。これまで熱として捨てていた電気を回収する機能を持たせ使用電力を90%削減、ライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出量を85%削減できるという。バッテリーを使う電気製品の駆動試験に使う同シリーズの回生型電子負荷装置も同ブランドにダブル認定され、引き合いが急増している。

蓄電池や試験用電源に活用

「エネファントシリーズ」は、バッテリーに系統から充電したり、放電したりを繰り返すテストの「電源」としての機能と、各種の電気製品が動作するときの電力消費を仮想的に再現してテストする「電子負荷」の機能を用意した。

電気を回収する機能を持たせたことで、テスト装置自体が充放電する「バッテリーのふり」をすることが可能になり、電気自動車の充電設備などバッテリーを使うさまざまな電気製品をテストできる。

従来、バッテリーのテストではせっかく充電した電気を熱として放出。電気製品のテストでも実際にモーターを回したりするのでなく、電子負荷装置が電気を熱として消費していた。

エネファントシリーズはこれらの電気を熱として放出するのではなく、商用電力として系統に戻すこともできる。「消費電力を電気として再利用することにより、熱が発生しないので空調費も節約できます」(清水正明パワエレ技術部長)という。

価格は定格電力50キロワットでモデルにより1台1000万円程度。従来のように電源と電子負荷と放熱処理の装置を別々に導入するのに比べ半額で済むとしている。

2024年度の川崎CNブランド大賞受賞などの広報をきっかけに、社員募集の問い合わせも増加。「環境に関する第三者機関からの評価を得られたことで、製品そのものの認知とともに、環境に感度の高い人材や株主に対し『元気な企業』という印象を持ってもらえたようです」(小山知剛パワエレ営業部長)としている。

(2025年9月掲載)