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スマート農業を実現する制御盤 水やり、施肥はAIで

台湾スタートアップのKiaoFarming(智食良果、高雄市)が展開するビニール栽培向けのスマート農業ソリューションが台湾や東南アジアなどで注目されている。独自開発した「スマート制御盤」が各種センサーと連動。温湿度の変化に応じて水やりやファン制御、施肥などをAIが自動で行う。農家はLINEアプリを通じて遠隔監視し、必要に応じて手動操作することも可能だ。日本市場への展開も狙っている。

センサーと連動した遠隔制御

システム導入により、人手を5分の1程度に減らせ省エネ効果も見込めるという。「何よりも(AIにより)経験の少ない農家でもよいものが収穫できるようになります」(呉昱鋒CEO)。

同社によると、同技術の肝となるスマート制御盤は、小規模な農家でも導入しやすいように一般的な大型制御盤の10分の1程度の価格に設定。台湾でも普及するLINEのアプリで使えるようになるという。現在はマンゴー、ドラゴンフルーツ、マッシュルームなどの栽培に対応し、農業専門家の知識をデータベース化して蓄積している。

すでに大手の花卉業者が採用し、政府系ファンドから10%出資を受けている。タイでは、ロイヤル・プロジェクト財団(Royal Project Foundation)に採用され、5つの実証サイトを導入。台湾の1人のエンジニアが遠隔サポートするだけで運用できる効率性を実証した。台湾外務省と連携したタイでのスマート農業プロジェクトにも採用されている。

今後は日本市場参入も視野に、いちごやブルーベリーで専門家との協業を検討。畜産分野も含めた総合プラットフォームの構築を目指している。