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子どもからシニアまで 街の音楽教室は”サードプレイス”

総合音楽施設、ミュージックシティ百合ヶ丘(川崎市麻生区百合丘)を持つ京浜楽器は、小田急線・登戸駅近くに新コンセプトとなる施設「登戸新センター」を開設した。子どもから大人までの幅広い層に対し、音楽教室や個人レッスンを開講。アフターコロナのストレス社会に対し、音楽という共通のツールを通じ仲間をつくり、それぞれにとって自宅や学校、職場に続く“サードプレイス”にしてもらうのが狙いだ。「音楽のまち・かわさき」にふさわしい存在になることも目指す。

「心を育てる」新コンセプト

登戸新センターは駅徒歩5分、スポーツクラブなどカルチャー施設を集めたビルの4階に立地する。大中小2つずつ合計6部屋。すべてにグランドピアノを備えており、内装は、大人も子どももくつろげる明るくシンプルな内装デザインとした。

外部への防音を徹底したうえで、室内では壁面に調音パネルを設置、天井と床面の反射・吸音のバランスを取り音響効果を高めたのも特徴だ。

「情熱のある多彩な講師陣」

同社は1959年の設立。地域を代表する楽器・楽譜専門店として、現在川崎市内に15拠点を展開する。日本全体で進む少子化だが、地元・川崎などの都心部では、再開発に伴うマンション新築で子育て家庭が増加。共働きの両親が付き添える土日の子ども向け教室は定員オーバーが続いているという。

その一方で、平日昼間は中高年の音楽需要が高まっている。時間のゆとりが生まれたため「かつて憧れた楽器を習いたい」「大好きな曲を一緒に歌って健康維持や友達をつくりたい」...。さまざまな目的を持った人が集まってくるという。

同社はこうしたニーズに対応。ヤマハ音楽教室の各種コースに加え、独自に各種の楽器を教えるオリジナルレッスンも拡大している。ピアノのほか、ギターやウクレレ、各種の管楽器、ボーカルトレーニングなど約25メニューで100人を超える講師を登録。「若い頃に吹奏楽をやっていた方や、主婦でありながら中国楽器の二胡(にこ)を極めた方など、情熱のある多彩な講師がそろっています」(近田朝子アドバイザー)という。

「シニアにとって音楽は癒やし」

現在、大人向けの比率が45%程度まで増えている。子ども向け教室も大人向けスクールも実施できる登戸新センターの特徴を生かし、今後も地域の音楽に対する需要の受け皿としての役割を担っていく。

原信一社長は「シニアにとって音楽は癒やしとなり心を整えるのに役立ちます。レッスンをみなさんの“サードプレイス”と位置づけ、人間が本来持っている『心』を育てていただければと考えています」と話している。

(2025年3月掲載)