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精密部品製造を支える「リニアガイド」 韓国メーカーの戦略

韓国のWON ST(ウォンエスティー、京畿道華城市、イ・テクウォンCEO)は、リニアモーションガイド(リニアガイド)とボールスプラインで韓国初の国産化を実現した機械要素部品メーカー。韓国市場でシェア3割を誇るローカルトップブランドとして、世界に誇る韓国半導体産業などを下支えしている。その一方で、ものづくり産業が盛んな日本、中国、米国などにも積極的に進出。2023年4月には大阪市内に日本法人「WON STジャパン」を設立し、本格的な市場開拓に乗り出している。

日本の中小企業にも提案へ

主力製品であるリニアガイドは、その名が示す通り「リニア(直線)」の動きをガイド(案内)する役割を担い、物体を正確かつ滑らかに直線移動させるためのレール部品。

工作機械や半導体製造装置など、あらゆる精密作業の位置決めに使用されており、同社製品は世界的半導体企業や関連産業で採用されている。

同社はそのリニアガイドで価格競争力と短納期を強みにする。「日本の大手メーカー製よりも平均2~3割安価に提供できます。レスポンスや納期も早いと思います」と、崔君星・WON STジャパン社長。条件次第でセミカスタマイズにも対応している。

機能面でもリニアガイドを動かすための潤滑油ユニットで独自方式を開発、耐久性も数万キロに及ぶという。

大口顧客などに対しては、導入を検討する製品に対し、自社の試験装置を使って耐久性などを検査し、検証結果まで提出している。

日本市場については「大きな市場」(崔社長)とみており、今後は大手だけでなく、意思決定が早い中小のセットメーカーへの提案も強化していく。神奈川県内企業との連携にも意欲的だ。

(2025年8月号掲載、オンライン取材)