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台湾・半導体の乾燥プロセスで技術力 供給網を支える

台湾の主力産業、半導体分野で自動化乾燥設備を手掛ける専業メーカー、偉勝乾燥工業(新北市、WEISUN)は、半導体製造プロセスに欠かせない各種乾燥設備(半導体用熱処理オーブン)を開発・製造および販売も行う。半導体サプライチェーンにおいて重要な役割を担う。

独自設計の炉で高伝導率実現

1976年創業。当初はOEM(相手先ブランドによる生産)主体だったが、脱下請けを進め、自社ブランド製品「WEISUN」を2009年から本格展開。ハイエンド装置のカスタマイズ対応を重視し、各種プロセスに最適化した乾燥設備を供給するビジネスモデルを確立した。

今では年間300台ほどを国内外に出荷し、台湾産業界のオスカー賞と言われる「台湾精品賞」など数々の賞を受賞、数年後には株式上場も予定する。

半導体製造において、ポリイミド樹脂の熱硬化はウエハーの先端パッケージング工程において重要なプロセス。同社の乾燥設備は、極低酸素環境(酸素濃度10ppm)やクリーン環境下(ISOクラス4準拠)で、最大530度の高温熱処理を実現した。

大きな特徴は、乾燥炉内の独自設計による高い熱伝導率と気密性。従来比で25%減の省エネ性能も実現し、ESG時代に対応している。

今後は海外展開を加速し、海外売上高比率を現在の3割から5割に高める方針だ。中でも「日本市場は特別な存在。技術や安全面の要求が厳しくとても参考になります」(陳玟翰・総経理)。

今後は商社などを通じ日本市場への販売を本格化させ、シェアが拡大すればサービス拠点の設立も視野に入れる。

(2025年6月号掲載、オンライン取材)