人手不足に悩む企業にとっての“救世主”となるか-。MEMOテクノス(相模原市南区大野台)は、自立移動型の「多能工モバイルロボット」を開発した。搬送や作業用を想定する。AI(人工知能)を内蔵し、複数台置けばロボット同士が連携して作業に当たる。1日最大18時間稼働するため「1.5人分以上の仕事ができます」と渡邊将文社長。同ロボットをベースにシステムインテグレーター(SIer)事業を本格化させていく。

人手不足解消へ新兵器

「Lux(ルークス)48」と名付けた同ロボットは、搬送車の上に6軸の多関節アームを搭載している。制御機器大手、オムロンが製造販売するロボットをベースに、MEMOテクノスがさまざまな機能を追加、オリジナル製品として開発したものだ。指示を受けたロボットが作業場所に移動し、多関節アームを使って加工や組み立て、搬送などの作業を行う。1台のロボットに、それぞれ異なる作業や作業の順番を覚え込ませることも可能だ。

導入時に工場や店舗内の見取り図をスキャニング。通行中、予期せぬ障害物があったり、人混みに遭遇した場合は、内蔵したAIが自ら考えて別ルートを走行する。人の小走りと同じ程度の時速6.5キロで進める。

また、複数台のロボットを導入した場合、互いの位置や作業状況を把握しながら、連携して作業に当たる。最大48台までの連携が可能という。導入前に同社のSIerが3次元CADによってシミュレーションを重ねて検証し後、実際の設置につなげる。

導入価格は1台1000万円から。ヒアリングから納品までは3カ月程度。工場内の軽作業のほか、飲食店、医療機関などでの活用を見込む。年間5台程度の販売を計画する。「今後は危険予知機能や屋外でも使用できるロボットの開発を進めていきます」と渡邊社長は話している。

■SIerが足りない

人手不足を補おうとロボットを導入する動きが中小企業でも広がっている。しかし、メーカーからロボットを購入しても、現場で動かすには、プログラミングでロボットに作業内容を覚え込ませる必要がある。

どの現場の、どの工程にロボットをどう活用すれば良いのか―。導入設計やシミュレーションをしなければ、ロボットの活用はできない。そうした役割を担うのがSIerの存在だ。
現在、このSIerが地域的に不足しており、地元・相模原市も育成に向けた施策を打ち出している。同社では今回の「ルークス」を皮切りに、SIer事業を展開していく。

(2018年1月号掲載)