住まいの産業 / ライフサイエンス

見守り介護ロボット、広がる用途 一般人の睡眠分析にも力

バイオシルバー(横浜市港北区新横浜)は、同社で開発・製造する見守り介護ロボット「aams(アアムス)」をヘルスケア分野へ展開する。センサーを身体に装着せず、寝ただけで心拍・呼吸・体の動きをモニターする機能を応用し、一般人やアスリートの睡眠分析などに利用分野を広げていく。さらなる事業拡大に向け、製造パートナーも新規開拓していく。

センサー非装着、心拍や呼吸モニター

aams本体は、電気部品や配線等が一切入っていないマット部分と独自開発の超高感度センサーを内蔵したセンサーユニット部分で構成。ベッドのマットレスの下に敷いて普段通り寝るだけで、利用者の様子を0.5秒更新のリアルタイムでパソコン、スマートフォンから見守ることができる。

心拍・呼吸・体動の状態のほか、睡眠状態やリラックス度も表示する。事前にアラート発生の条件を設定することで、異変があった際にアラートが発報。素早い駆けつけや介助にも役立つ。

ベッドのマットレスの下に敷いて使用

心拍・呼吸・体動の状態のほか、睡眠状態やリラックス度も表示する。事前にアラート発生の条件を設定することで、異変があった際にアラートが発報。素早い駆けつけや介助にも役立つ。

また、利用者の状態やアラートの履歴は自動で記録が保存されるため、ケアプラン改善などの介護の質の向上にも活用が可能という。

情報の確度の高さやアラートの素早さ、センサー本体の丈夫さなどが介護現場から好評を得ているといい、見守り介護ロボット市場でも高いシェアを持っている。

この10年で急速に普及。全国の介護施設を中心に、一部病院を含め、全国約3000施設に5万台近くを納入した。

今後はヘルスケア分野などの新規市場開拓に加え、乳幼児向けの見守りにも力を入れていく。

「遠隔地からの高齢者の見守りにも」

既存の介護分野でも全国100万床あるとされる介護施設を深堀するほか、「将来的には自治体や外部企業と協力するなどして『在宅介護における遠隔地からの独居高齢者の見守り』などに取り組みたいです」(原田敬三社長)と意欲を示している。

同社は創業以来、独自のセンサー技術をもとに介護業界への参入を進めてきた。

2014年には国が介護ロボットの普及を進めた補助事業「ロボット介護機器開発・導入促進事業」に採択され、導入数を一気に伸ばした。

コロナ禍では、居室に駆けつけなくても利用者の状態を把握できることで、介護職員と利用者の接触を減らす「見守り方改革」も実現している。

(2024年7月号掲載)