住まいの産業 / ライフサイエンス

保育の実践に「アドラー心理学」

保育園「チューリップルーム」を運営するGFB(川崎市宮前区宮前平)は、アドラー心理学を幼児保育に取り入れ、心を育む保育を進める。もともと保育士として働いていた塩沢節子園長が自身の子育てで悩んだ経験を生かし、母として、保育経験者として子どもやママたちと向き合い続けている。

体験重視で育む幼児の心

現在、川崎のほか、日吉(横浜市港北区)、西寺尾(同市神奈川区)、戸塚(同市戸塚区)と計4つの保育園を展開している。

親子で遊びに来られるオープンルームを設けるほか、絵本読み聞かせの会や、お茶会などを通して母親たちの情報交換も促す。

母親向けの講座では、塩沢園長が保育士、子育ての先輩として自ら思いを伝える一方、「勇気づけセミナー」も開催。子どものやる気や成長につなげるための心得を伝え
ている。

大きな特徴は、アドラー心理学をもとにした保育の実践だ。自然の中で遊ぶことで五感を刺激させ、けんかをした際も極力自分たちで解決するよう見守る。

「これからも子どもたちの体の体験、心の体験を大切にしていきます」(塩沢園長)と話している。

取材メモ

塩沢園長自身も保育士として働いていたが、当時の保育の在り方に疑問を持っていたという。「みなさんの記憶にもあると思います。例えば、給食は好き嫌いなく食べることが大事とされ、食べるまで遊ぶことが許されなかったり、言うことを聞かない子はその理由を聞くまでもなく悪い子、とされたりしていました」

結婚後2人の娘を持ったが、次女はいわゆる“やんちゃ”な子どもだった。「悪いことはするけれど悪い子ではない。でも、当時の保育現場を知っていたので、このまま保育園に通ったら確実に問題児扱いされると思いました」。そして「保育の世界を知っているからこそ言えること、できることをしていくのが私の役目だと感じました」と。そうした思いが、チューリップルームの前身である保育室の開設につながった。

(2024年5月号掲載)