住まいの産業 / ライフサイエンス

配管工の一人親方を正社員に

配管工事の西井工業所(川崎市川崎区大川町)は、いわゆる“一人親方”として活動する配管工や鍛治工の正社員化を進める。業界で深刻化する人手不足に対応するのが狙い。併せて業務の総合サービス化も展開する。単に職人を派遣する事業でなく、プラントやビル設備の設計、自社工場での加工、施工、メンテナンスまで事業領域を拡大するとともに、働く環境を整備することで、若い世代の確保・育成をしていく。

「総合的な鉄の工務店」を目指す

働く環境の整備では、4年前に自社工場を購入し広いスペースでの部品製造に対応。2階のオフィスは商業施設のデザイナーに依頼し、円形テーブルを配置した明るいデザインにするとともに、仕事の後のオフタイムが充実するようシャワールームを完備した。

また、川崎市街に駐車場付きの借り上げ社宅を用意し、社員は月4万円の負担で生活できる。

取引先のプラント関連企業を定年退職した技術者の採用も進める。これにより、設計図面の作成など上流工程の作業に対応。業務範囲の拡大により新入社員に設計、現場など選択肢を示して定着を図る。

プロの一人親方のネットワークも維持し、「総合的な鉄の工務店として、古き良き鉄工文化を継承・発展させていきたいです」(西井周史社長)と話している。

同社は1982年に配管工の派遣業務で創業。2013年に2代目の西井周史社長が就任して事業構造の変革を開始し、社員数は2倍以上の20人、年商は約3倍の5億円に拡大している。

(2024年3月号掲載)