住まいの産業 / ライフサイエンス

日欧の工法でサステナブルな家を

CFホーム(川崎市宮前区東有馬)とグループ会社のハルタ建築設計事務所(同)は、国産木材を使用した「CLTパネル」と、天然岩石由来の断熱材、デンマーク・ロックウール社製「ストーンウール」を組み合わせた日本初の住宅工法を展開する。両社は、同工法による木造3階建てのオフィス(CFホーム本社)を建設。オール国産材のサステナブルで、エアコンに頼らない快適な住環境を実現した。今後は積極的に見学を受け入れ、同工法による住宅の魅力を訴求。CLTパネルの消費量を拡大することで、国内林業の活性化にもつなげていく。

日本初の工法「CLT+ストーンウール」

■エアコン不要の環境に

北欧発祥のCLTは、厚さ3センチのラミナ(ひき板)を、繊維の方向が交わるように積層化し接着させた大きな厚みのあるパネル板。製造・建築時の二酸化炭素(CO2)排出が抑えられるだけでなく、断熱効果もコンクリートに比べて10倍高いという利点がある。

CLT工法は、これらをブロックのように積み上げていくことで、家づくりをしていく。熟練の技を必要とせず、工期も短いという。

「(CLT)の家は、すき間が生まれないため気密性が高く、木材が“呼吸”するので調湿性も優れています」と、ハルタ建築設計事務所の武知俊貴さん(1級建築士)は説明する。

今回、川崎市内にオープンしたオフィスでは、CLTの木材として北海道産トドマツ、岡山産スギなどを利用。外壁には屋久島産スギ、サッシにも国産ヒバを採用するなど、オール国産を意識した。

「日本は“森林大国”ですが、外国産の安価な木材が流通しているため、国産材はあまり使われていません。ただ、使わず山が荒れると木が育ちません。だから木をどんどん消費する必要があります」と武知さん。CLTの普及が国産材復活と環境保全の切り札になると期待している。

■本物の家づくり

両社が展開する新工法では、CLTに加えて、外断熱材に「ストーンウール」も組み合わせた。

ストーンウールは天然の岩石由来で、寒暖差が激しい北欧で約130年前から使用されている自然素材の断熱材。ストーンウール自体も“呼吸”するため、木材との相性がよく、調湿性はそのままに断熱効果が増す。この新工法による住宅はエアコンに頼らない環境を作り出し、太陽光パネルと組み合わせれば、電気料金が劇的に下がるという。

CFホームの木口真人社長は「川崎からこの新しい工法を広げていきたいです。“本物の家づくり”の市場はまだまだブルーオーシャンだと思っています。まずは体感していただきたい」と語り、普及に意欲を燃やしている。

(2024年3月号掲載)