金属加工・樹脂加工・その他加工

岩手に電子部品の新工場、雇用も創出

基板用端子台などを製造販売するターミナル(川崎市中原区上丸子山王町)は、岩手県遠野市に新工場を完成、稼働させた。新工場では多品種ながらも海外製品の規格に準拠したあらゆる電子部品を生産。地元住民も積極採用することで雇用を創出し、過疎地域の活性化に貢献していく。

海外規格準拠の部品生産

■自社のノウハウ活用

2011年に設立した同社は、産業用機器の基板用端子台や中継タブ式端子台、電気制御盤に使う通貫端子台の製造を主力事業とする。

カタログ品とオーダーメード品の両方を製造するが、中でも自社規格取得品、ノイズフィルター向けOEM製品は、アメリカ保険業者安全試験所(UL)の製品安全規格「UL規格」にのっとり製造しなければならない。

新工場は、UL規格をはじめとした海外製品に対応できる認証工場として稼働した。同規格のほか、ドイツの認証機関である「TUV認証」や欧州の化学物質使用規制である「RoHS指令」にも対応した。

「海外の規格を理解した上でものを作っていかないと、装置に組み込むこともできません。工場監査もあるので、人数の少ないなりにこれらをクリアしながら生産しています」と金友孝二社長は説明する。

出荷能力は月平均で40万個超。そのうち端子台は約10万個生産可能で、400種類出荷できる能力を備える。

「不良を出さないことが第一です」とし、品質の担保に注力。自社製端子台については集中力を欠かさないため1000個以上のロットは分担し、目視による全数検査を欠かさないという。

■「はざま」の市場

時代とともにニーズが変化し、多様な量の大きな端子台メーカーが台頭する中、同社では“小ロットで納期の早さ”を重視する昔ながらの手法を貫く。

「社員数も少ない小さな会社なので、大手がやっていないところ、ニッチなところといった、いわば『はざま的』なものに力を入れています」と力説。大手が撤退した分野を同社が請け負うことに助けられている企業やユーザーも多く、最近はインターネット経由の問い合わせも増えてきたという。

なお、新工場は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の適用を受け、3年間の固定資産税免除を受ける。地元採用を拡大していくことで、地域活性化にもつなげる。

(2024年3月号掲載)