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半導体廃棄物をリサイクル

台湾を代表する産業でもある半導体の製造プロセスでは、ICの材料となるシリコンウエハーの製造過程で出てくる廃液(シリコンスラリー)の処理が必要になる。半導体廃棄物のリサイクルを手掛ける企業、光宇応用材料(Semisils、台南市)は、シリコン廃棄物の再生を通じて、半導体産業の循環型経済の構築を目指している。2024年度からは、自社工場の処理能力を従前から4倍に引き上げる方針だ。

ウエハー製造過程の廃液を再生

何英志総経理は、「かつて廃棄物は埋め立て処理が主流だったが、台湾では処分地の場所が不足しており、リサイクルを進める必要があります」。20年にA級廃棄物処理の許可を取得し、現在、月間150トンの生産量を上げている。

13年に設立。台南に構えた敷地2万平方メートルの工場は19年から稼働を始めた。主なスラリーの供給元は、聯華電子(UMC)などのファウンドリ大手やウエハーメーカー、半導体封止・検査大手。スラリーを前処理して塩基と反応させ、ケイ酸ナトリウムを取り出し、さらに酸と反応させて洗浄し、二酸化ケイ素(シリカ)に再生する。

シリカの高付加価値製品として、粘着剤やはっ水剤、コーティング素材などが見込まれる。応用製品には、ボールやスニーカーなどのスポーツ製品の原料も含まれる。

来年度からは600トンに処理能力を引き上げる予定。「シリコンアイランド」とも称される台湾では「二酸化ケイ素の応用品には世界で年間400万トンの市場があります」(何総経理)とみて、対応力の強化を急ぐ。

再生過程では水素も取り出せるため、新たなエネルギーとして燃料電池向けの用途拡大も狙う。日本企業との連携も探る。

(オンライン取材、2023年6月号掲載)