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塗工ラインの稼働期間、大幅短縮

大型塗工ラインなどの産業機械メーカー、樺欣機械工業(クラウンマシナリー、台湾・桃園市)は、納入先に大型ラインを設置してから稼働させるまでの期間を大幅短縮する「ターンキー方式」を実現し、差別化につなげている。従来方式では、大型機械をユニット品ごとに現地に送り組み立て、試運転などで調整して稼働させていたが、これを改善。自社工場内で組み上げ、顧客の立ち合いのもとで、あらかじめ試運転と微調整をした上で、再びユニットに分解して現地で設置。納品後にすぐに稼働できるようになるという。

メンテナンスのリモート化も実現

同社は紙やフィルム、テープから医療用の各種テープ、不織布、液晶ディスプレー用フィルム、プリント基板材料、リチウム電池材料、航空宇宙分野など、汎用から最先端分野までの産業機械を完全受注生産する企業。

毎分300メートルの世界最速のマスキングテープ塗工ラインなどを実用化する。1992年の創業以来、日本を含めグローバルでシェアを伸ばしており、現在までで300台近くを納入している。

■最短1カ月で本格稼働

大きな差別化の要因とするのが「ターンキー方式」の実現による現場での稼働までの期間の短さ。最短約1カ月で本格稼働するようになるという。あらかじめ自社工場で試運転して“調整済み”のため、現場ではユニット品を組み立て、ライン化するだけの作業としている。

また、IoT技術などを工場に取り入れ、製造業の活性化を目指す「インダストリー4・0」への取り組みも加速させている。

中でも納入後のメンテナンスでは、機械の異常発生時に出たエラー番号をもとに、専用アプリにより、時には映像や画像を見せながら担当者とチャットで会話。その場で解決していく。「メンテナンス人員を現地に派遣する時間も必要なくなりますし、顧客にとっても問題の早期解決につながります」と荘嘉郁・総経理。

台湾でも数々のビジネス賞を獲得しており、今後、日本市場でのさらなる拡大を見据えている。

(2023年6月号掲載)