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「高付加価値米」で差別化

食生活の変化や流通革命で小規模米穀店の苦戦が続く中、ヤマイチ(川崎市宮前区犬蔵)が奮闘している。有機米や特別栽培米のブランド銘柄といった「高付加価値米」を販売。全国でもわずか476人という「五ツ星お米マイスター」でもある小嶋和江専務の目利きで、厳選した年間約20種類だけを取りそろえる。「どんな環境で、どんな生産者がどのように育てたかわかる『顔の見えるお米』しか扱いません」と、小嶋専務は力を込める。

アナログでも「正々堂々」 貫く

小嶋専務自らが現地を訪れ、生産者と米の生育環境を確かめたものだけを店頭に並べている。

今年で創業60周年を迎えるが、近年は「食生活の変化や販路の多様化もあり、米屋のお米が選ばれるのは難しい時代になりました」と小嶋専務。しかし、競争が難しくなっても「商売は正々堂々と」をあくまでも貫くという。

■米にトレーサビリティを

米の収穫は年に一度。新米の時期が味が一番よく、だんだん劣化する。このため、複数種を“ブレンド”することでおいしさを保つことが、業界ではよくあるという。

それに対し「ブレンドも立派な技術ですが、うちには混ぜものは一切ありません」と小嶋専務は胸を張る。

社員、パート問わず、従業員にも米のトレーサビリティを徹底させる。精米も在庫状況も、米ごとに管理し、数百グラムの残りが出ても厳密に記録。希望者には生産情報も提供している。

小嶋専務は「うちで買ったお米に何かあった場合にきちんと説明し、情報も伝えられるようにするためです」ときっぱり。安心・安全なお米を子どもたちに食べてほしいという。

(2023年3月号掲載)