住まいの産業 / ライフサイエンス

「トランポリン」で起業、ヒット飛ばす

スタートアップ企業、さくらぎさくら(川崎市幸区中幸町)が企画した家庭用トランポリン「ゆかぴょん」がヒットを飛ばしている。2022年11月に商品化し、第一弾として1500個を販売したところ、わずか5カ月で完売。現在、次の生産準備をしているが、すでに700件の予約があるという。Amazonの室内用トランポリン部門でも、売れ筋ランキング1位(22年11月19日取得)を達成した。立石有香莉社長によるストーリー性がある開発や、在宅勤務普及によるストレス・運動不足解消へのニーズも重なった。

家庭用企画し5カ月で完売

家庭用の小型サイズ(50×50×18センチ)。計36個のコイルスプリングが内蔵されており、市販されているクッションタイプとも差別化し、本格的な“ジャンプ”が楽しめるという。

特殊ウレタンフォームを採用した三層構造のため、使用時の音も、人の会話以下となる45デシベル以内となっている。次回生産分の価格は1万3800円を予定。

きっかけは、会社員時代。入社以来、ストレスによる暴食で体重が10キロ増えてしまったこと。「運動は得意でなく、ジムも長続きしませんでした」という立石社長が出会ったのがトランポリン。

自宅に購入したトランポリンを跳ぶことが楽しくなり、毎日継続できた。食事管理も並行したことで、見事10キロのダイエットに成功した。「見た目も変わり、自信が持てるようになれました」。

■「ポジティブの輪」

コロナ禍のリモートワークで当時勤務していた会社の同僚たちにトランポリンの話をすると、多くが関心を示した。そして5年弱勤務した職場を退職し、起業。ものづくり経験ゼロながらも企画・製作を進めた。

覚悟を決め、莫大な開発・製造コストも手持ち資金などで負担した。当初は製造受託をしてくれる業者探しに難航したが、ようやく九州の雑貨メーカーが小ロットでも引き受けてくれたことで、商品化が実現した。

立石社長は「跳ぶことでポジティブな気持ちになれます。トランポリンを通じてポジティブな輪を広げていきたいです」と、普及に向け日々奮闘している。

(2023年2月号掲載)